田中岑といえばご存知の方も多いと思うが、今回はこの作家について触れてみたい。
田中岑を語る上でまず外せないのが、1957年に第一回安井賞を受賞している事だろう。安井賞とは、1956年に開催された安井曾太郎遺作展の成果に基づいて、具象的傾向を持った現代美術の振興に寄与する目的で設定されたもの。
そんな安井賞の第一回受賞者になったわけだが、聞くところによると賛否両論でそうとうにもめたとか・・・。それは、田中岑の作品が具象にも見えれば、抽象にも見えるからだ。
田中岑の最も強力な応援団は、神奈川県立近代美術館といえるだろう。美術館のカフェには田中岑の壁画もある(ご存知だろうか?)。ちなみにこの壁画、最近までその上に壁が有ったため見る事が出来なかった(まるでミケランジェロのよう・笑)。この神奈川県立近代美術館では、1990年に田中岑展が開催されている。
Gallery美術世界は2002、2003、2005と立て続けに個展を開催したが、全国から遠方遥々と訪ねて来るお客様が多いのにはびっくりした。
皆、作家に会いたくて訪ねて来る。しかし会ってみるとろくな事を言われない(笑)。そう、口が悪いのだ(苦笑)。だが、誰もがそれを楽しむように集まって来る。すごい画家だと思った。
「俺は戦争で戦ったけど、誰も殺さなかったよ・・・弾には当たったけどね」とは田中岑の言葉。作品の中に見る透明感は、こんな生き方の表れだと思っている。
今回久しぶりのトークショーがGalleryで開催されるが、興味の有る方は是非ご参加を! (5月27日午後2時 at GALLERY-BS)
現在87歳、この元気なご老人にいつまでも触れ続けていたいと思う。
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